
毎日何気なく行っている洗顔。一見単純なように見えても、実はやり方を間違えると効果を十分に発揮できないことがあります。洗顔は全てのスキンケアの基本であり、汗や余分な皮脂、外気から付着した汚れを除去する大切な工程です。間違ったやり方で洗顔すると、『肌の性質』が変化してしまうこともあります。「何を買えばいいかわからない!」「洗顔の正しいやり方がわからない!」そんなあなたのために、洗顔の基礎知識やオススメ商品を紹介します。
洗顔料の種類ってどんなのがあるの?
まず、洗顔料は脂肪酸塩が含まれているものが比較的多いです。
脂肪酸塩とは
脂肪酸+アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)
これらの反応によってできる化合物です。
脂肪酸塩は、簡単に言うと油にくっついてそのまま水に流れる性質を持っており、洗顔に非常に適した化合物です。
脂肪酸の洗顔料はまずその性状により大きく3つに分ける事ができます。
- 脂肪酸塩が主成分(弱アルカリ性)
- 脂肪酸塩+界面活性剤(弱アルカリ性)
- 脂肪酸塩+界面活性剤+アミノ酸系の界面活性剤を配合(弱酸性)
そのほかにも、スクラブや粘土鉱物、レシチン、ポリグリセリン脂肪酸エステルが配合されたもの、また脂肪酸塩を使用しない合成洗剤系や天然成分系など、さまざまな種類があります。
より詳しいおおまかな分類は下の表を参考にしてみてください。

南野美紀:化粧品の種類と使い方,p113 より引用
弱酸性とか、中性とか、アルカリ性とか色々あるけど結局なんなの?
まず、人の肌表面は、皮脂を中心とした複合物の薄い膜で覆われることによって“みずみずしさ”を維持しています。この皮脂の一部が脂肪酸などに分解(加水分解)されることで、肌はpHを4.5〜5.5程度の弱酸性を保っています。
皮脂が弱酸性であることになんの意味があるの?
多くの有害な微生物はアルカリ性や中性の環境で繁殖しやすいのに対し、弱酸性の環境は、多くの病原菌や細菌の繁殖を抑制してくれます。そのため、皮脂が弱酸性を保つことには大きな役割があります。
洗顔の pHによって何が変わってくるの?
1. 弱酸性(pH: 4.5〜6.0)の洗顔料
- 成分例: アミノ酸系界面活性剤(例: ココイルグリシンNa、ラウロイルメチルアラニンNaなど、他多数)、クエン酸、乳酸
- 特徴:
- 肌の自然なpHに近いため、肌に優しい。
- バリア機能を保護し、乾燥や刺激を防ぎやすい。
- 敏感肌や乾燥肌の方に適している。
- デメリット:
- 洗浄力が比較的マイルドなため、濃いメイクや皮脂汚れを完全に落とすには不十分なことがああります。
- さっぱり感が足りないと感じることがある。
2. 中性(pH: 7.0)の洗顔料
- 成分例: ベタイン系界面活性剤(例: コカミドプロピルベタイン)、グリセリン
- 特徴:
- ほとんどの肌タイプに対応可能で、バランスの取れた洗浄力を持つ。
- 肌への刺激が少ないため、日常使いに適している。
- デメリット:
- 肌のpHが自然な弱酸性から中性に傾くため、バリア機能が若干低下する可能性がある。
- 長期的に使用すると、肌が乾燥しやすくなることがある。
3. アルカリ性(pH: 8.0以上)の洗顔料
- 成分例: 脂肪酸塩(例: ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム)、石鹸成分
- 特徴:
- 非常に強い洗浄力を持ち、皮脂や汚れをしっかり落とす。
- 泡立ちが良く、さっぱりした洗い上がりが特徴。
- オイリー肌や混合肌に向いている。
- デメリット:
- 強力な洗浄力により、肌のバリア機能を損ないやすく、乾燥や刺激を引き起こす可能性が高い。
- 特に乾燥肌や敏感肌の方には不向きで、使用後に肌がつっぱることが多い。
まとめ 洗顔料はどう選べばいいの?
- 乾燥肌: 酸性(弱酸性)洗顔料が最適。
-アミノ酸系、クリーム、ミルクタイプが特におすすめ。 - 感覚過敏肌: 酸性(弱酸性)洗顔料が最適です。
-低刺激のジェルやクリームタイプが適しています。 - 脂性肌: アルカリ性洗顔料が適しており、効果的です。
- 混合肌: アルカリ性、中性の洗顔料が最適です。
ただし、アルカリ性だと乾燥しやすい部分が出るため、その後の保湿が必要になってきます。
-ジェル、フォーム、ミルクジェルタイプが適しています。
正しい洗顔の仕方はどうするの?
洗顔料に含まれている界面活性剤の皮膚への吸着を低減させるため、最初にぬるま湯で顔全体を濡らすことが推奨されています。
そのあとは適量の水と各洗顔料の指定量を手のひらにとり、泡立ちネットなどでしっかりと泡立てていきます。
泡立てることによって4つの利点があります。
- 刺激の低減につながる。
- 皮膚に付く過剰な界面活性剤の量を減らすことができる。
- 泡が緩衝材になり直接肌を擦りすぎない。
- 一回の使用量を減らすことができ節約できる。
主に上記2つが理由となります。4つめはあくまでもおまけです。
正しく洗顔できているかはどう判断すればいいの?
正しく洗顔できているか。。その判断方法は
ズバリ
洗顔後に肌がツッパっていないかどうかです。
肌がツッパっている状態、それは保湿因子の流出が原因です。保湿因子が流出することで角層の構造が変化し、肌から急激に水分が奪われることで角質細胞が急激に収縮します。このような、保湿成分の勾配の変化がツッパリ感につながります。

つまり
洗浄しすぎ≒ツッパリ感
となります。
正しく、洗顔できていればいるほどツッパリ感は感じにくくなってきます。
ツッパリ感を感じたからと慌てる心配はありません。そういう時こそ、しっかりとした化粧水、乳液が必要になってきます。それはまた別の項『スキンケア用品』を参考にして下さい。